日頃、しげしげと鏡を見ることは殆どないので、たまに見ると己の老いを自覚する。
皮膚は垂れ下がり、シミは増え。

来年還暦だから、そういうものなのだが、改めて自覚させられると、なまじ体力があるだけに一寸ギョっとする。
そう、日常生活は若い頃のまま営んでいるから、己の老いを自覚させられることがあまりないのだ。

昔から化粧品が嫌いなので、鏡をまじまじと見る機会が殆どない。
どこへ行くにも、所謂”スッピン”。
化粧をした経験がない訳ではないが、兎に角顔に何か乗せると息苦しく感じてしまい、出来るなら化粧をせずに済む職種を、と思ってきた。

腸の病のため、働くことを止めざるを得なかったが、取り立てて何かの役に立っている訳ではないので、ああ自分は穀潰しだなあ、とつい思ってしまう。
悲しい。
生産性なるものが、自分にはないのだ。

物事を”生産性”という言葉で片付けてしまうのは危険なのだと分かっていても、還暦近くまで生きていながら、何一つ体得出来ていないというのは、やはり情けない。
来年、本当に還暦になったら、シルバー人材センターに登録するつもりではいるが、自分に出来る仕事が果たしてあるのかどうか分からない。介護なんて、身内の分しか出来ない。他人様の介護なんて、難しすぎる。
だとしたら、選択肢としては、清掃しかない。
でも、これも自分には難しそうだ。

何も出来ないなあ。