「公正から問う近代日本史/佐藤健太郎、荻山正浩、山口道弘編著」
「”土地と財産”で読み解く日本史/元国税調査官 大村大次郎」
以上、読了。
「公正から問う近代日本史/佐藤健太郎、荻山正浩、山口道弘編著」。
11人の歴史学者による近代史の論文集。「経済と制度」「政治と外交」「地域と民衆」「思想と学説」の四部構成。「公正」という言葉の定義が問題となるが、近代史に於いての語義は現代とは多少異なると思う。岩波国語辞典第五版に拠ると「1.かたよりがなく正当なこと 2.はっきりしていて正しいこと」となるが、歴史学での定義は、扱う論考、研究素材に依って異なるので自ずと多元的になる。
全体として、どの論文も難しかったが、わりに分かりやすかったのが、第8章の「裁判記録にみる一九三二年矢作事件 ー包括的再検証に向けた基礎的考察ー /藤野裕子」だった。一九三二年五月四日、岩手県気仙郡矢作村の大船渡線鉄道工事第一三工区で起きた、日本人土工一◯◯余名による朝鮮人飯場などの襲撃事件である。日本人に有利なように取り調べや裁判が行われた過程を述べつつ、現代でもなお公正に扱われない人たちへの視座を問い直す内容となっている。
他にも、福澤諭吉の徴兵論とか、面白い論文が沢山あった。
「”土地と財産”で読み解く日本史/元国税調査官 大村大次郎」。
土地と財産で見てゆくと、日本史はこんなにも分かりやすいのかと、目からウロコが音を立てて落ちて行った。大化の改新は土地の国有化のため、中世の寺社は大地主・・・に始まり、現代のバブル崩壊後の失われた30年(中途半端な土地規制がバブル崩壊を招く)まで。
何故、現代の我々国民がここまで貧しくなってしまったのか、これを読んで腑に落ちた。富はごくごく一部の億万長者や大企業に集中し、一般国民はどんどん貧しく貧しくなってゆく。災害にあっても救済されずに自己責任だと責められるし、もう国民なんかみんな死んでしまえと言われているようなものである。腑には落ちたが、暗澹たる気分になった。この国はこの先どうなるのか。自分は生きていて本当にいいのか。
「生命と非生命のあいだ 地球で”奇跡”は起きたのか/小林憲正」読み始める。
「”土地と財産”で読み解く日本史/元国税調査官 大村大次郎」
以上、読了。
「公正から問う近代日本史/佐藤健太郎、荻山正浩、山口道弘編著」。
11人の歴史学者による近代史の論文集。「経済と制度」「政治と外交」「地域と民衆」「思想と学説」の四部構成。「公正」という言葉の定義が問題となるが、近代史に於いての語義は現代とは多少異なると思う。岩波国語辞典第五版に拠ると「1.かたよりがなく正当なこと 2.はっきりしていて正しいこと」となるが、歴史学での定義は、扱う論考、研究素材に依って異なるので自ずと多元的になる。
全体として、どの論文も難しかったが、わりに分かりやすかったのが、第8章の「裁判記録にみる一九三二年矢作事件 ー包括的再検証に向けた基礎的考察ー /藤野裕子」だった。一九三二年五月四日、岩手県気仙郡矢作村の大船渡線鉄道工事第一三工区で起きた、日本人土工一◯◯余名による朝鮮人飯場などの襲撃事件である。日本人に有利なように取り調べや裁判が行われた過程を述べつつ、現代でもなお公正に扱われない人たちへの視座を問い直す内容となっている。
他にも、福澤諭吉の徴兵論とか、面白い論文が沢山あった。
「”土地と財産”で読み解く日本史/元国税調査官 大村大次郎」。
土地と財産で見てゆくと、日本史はこんなにも分かりやすいのかと、目からウロコが音を立てて落ちて行った。大化の改新は土地の国有化のため、中世の寺社は大地主・・・に始まり、現代のバブル崩壊後の失われた30年(中途半端な土地規制がバブル崩壊を招く)まで。
何故、現代の我々国民がここまで貧しくなってしまったのか、これを読んで腑に落ちた。富はごくごく一部の億万長者や大企業に集中し、一般国民はどんどん貧しく貧しくなってゆく。災害にあっても救済されずに自己責任だと責められるし、もう国民なんかみんな死んでしまえと言われているようなものである。腑には落ちたが、暗澹たる気分になった。この国はこの先どうなるのか。自分は生きていて本当にいいのか。
「生命と非生命のあいだ 地球で”奇跡”は起きたのか/小林憲正」読み始める。